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ピアニスト福間洸太朗の日本デビュー20周年記念ファイナル公演
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ジャンル
ピアノ・鍵盤
タグ
サントリーホール、福間洸太朗、ピアノ、ストーリーズ

(2024年11月12日)

ピアニスト福間洸太朗の日本デビュー20周年記念ファイナル公演

ピアニスト福間洸太朗が日本デビュー20周年記念ピアノ・リサイタル

「ストーリーズ」をサントリーホールで開催

 

福間洸太朗のピアノ・リサイタル(11月11日、サントリーホール)。日本デビュー20周年記念として9月22日より各地で全10回の公演が行われ、この日がファイナル。20年間の轍を表すかのように「ストーリーズ」とタイトルが付けられ、これまでの彼のピアノ人生が凝縮されたような内容となった。

 

新録音のアルバム「ショパンの思い出」(ナクソス)にも収録されている「英雄ポロネーズ」、ピアノ・ソナタ第2番「葬送」、そして「幻想ポロネーズ」というショパンの中でも重厚、深遠な大曲を前半に置き、

 

後半には野平一郎の新作「水と地の色彩」(2024年 日本初演)、ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》より〈前奏曲〉(リスト編曲)と〈愛の死〉(福間編曲)、ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」(ボルヴィック編曲)、スメタナ「モルダウ」(福間編曲)を並べるという盛りだくさんのプログラムとなった(アンコール曲含め、調性や野平作品の入れる位置も計算し尽くされた絶妙の配列となっている)。

 

©Junichiro Matsuo

 

前半ではソナタ第2番が傑出していた。有名な葬送行進曲の中間部での天国的な表現、アタッカで突入した終楽章で示された急進的な作風と難技巧も声高でなく、あっさりと弾ききり、曲の造形感と品のあるスタイリッシュな音楽づくりが印象に残る。

 

その後に置かれたショパン晩年の傑作「幻想ポロネーズ」においても比較的早めのテンポがとられ、ポロネーズのリズムの輪郭をぼやかすことなく、明晰な表現性を重視していたことがうかがわれた。この「明晰さ」こそが福間の音楽性の重要な部分だと思われる。

 

後半の冒頭に置かれた野平の新作は日仏現代音楽協会の委嘱により「“煌めく水”のテーマにで書かれ今年の6月にパリの日本文化会館で世界初演された」(福間自身の解説による)作品で、フランスの印象派的な音響の流れを汲みながらも、クリスタルな透明感のあるリリシズムに溢れ、福間独自の明晰なピアニズムにより作品の実像が浮かび上がったよう。

 

その後のパラフレーズでもピアニストがみせた多彩な表現性と鮮やかな技巧は多くの聴衆をうっとりとさせるもので、イゾルデの法悦と牧神の官能とが、ピアノという楽器を通して描き出された。福間自身の編曲もふくめ各曲はほぼ原調でのアレンジなのも惹きつけるファクターになっている。最近「沼にハマる」という言い方が流行っているが、こうした演奏に接したならばピアノ好きがもっと増えるのでは? などと思ったりもする。

 

ここまでが本編。トークを挟んだ後にはこれまた濃厚なアンコールの時間となった。福間にとって思い入れの強い作品3曲をとりあげた。

 

花束を渡す宮田大(左)                                                       ©Junichiro Matsuo

 

フォーレ「舟歌」第1番、スケルトン「〈ジョニーが凱旋するとき〉の主題による変奏曲」の抜粋、プーランク「ノヴェレッテ」第1番を披露しファンを魅了。人気チェリスト宮田大からの花束の贈呈も大きなサプライズで場内を沸かせた。

 

(文:T・S)

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